暇鳥風月

暇鳥風月

ざれごとからたわごとまで

クイズ大会

とあるクイズ大会に俺は出場していた。

 

出場者は俺ともう一人(決勝か?)。試合もいよいよ大詰め、次の1問が勝敗の分かれ目になろうという1問。問題が読まれ始める刹那、俺はカッと目を見開いて解答ボタンを弾いた。そしてこう答えた。

 

金日成!!!!!」

 

会場は少しの沈黙に包まれ、じっとこちらを見つめる司会者。(どうか当たっててくれ…!)と俺は心の中で願いに願った。しかし

 

 

ブーッ

 

という無慈悲な、個人的にはシャトルランのドレミファソラシドの次に苦手なあの音が流れたとき、(あーこれは終わったな)と諦めに近い表情に変わってしまった。一番大事な局面で私はしくじったのだ。どう考えても勝てる要素がないし何より恥ずかしい。

 

 

意気消沈の私の隣に座ってる男が「金日成!」と答えた。

俺は自分の耳がバグったのかと思ったくらい、こいつが何をいっているのか意味がわからなかった。俺の無様な姿を見ていなかったのかこいつ、なんで俺の間違えた答えで勝負してるんだ。ご長寿早押しクイズじゃないんだぞ?バカか?

 

 

当然ながら不正解音が鳴り響いた。隣がバカで助かった。

 

 

さっきまで釣り上げられた深海魚のような目をしていた私だが、こんなバカの二乗を目の当たりにして、突如やる気がみなぎってきたのか、俺はまたバカみたいに元気よく解答ボタンを叩いてこう答えた。

 

 

 

金日成ッ!!!!!!!!!!」

 

 

もはや放送事故のソレである。なんでこの二人の間で空前の金日成ブームが巻き起こってるのか

 

そして意味深な間を作る司会者。意味深も何もさっきその答えで間違えてるんだよこっちは。どこにそんなためを作る要素があるんだ、お前今どんな心境でためてるんだよ。などと思いつつ、会場に流れたSEは

 

 

 

 

ピンポーン♪

 

 

 

 

だった。なんか正解したらしい。なんでだよ。

 

となりのヤツが「なにこれ?」って怒った。俺も「なにこれ?」って思ったしなんか申し訳なかった。ここで目が覚めた。そして俺は机の上に佇む一限の課題に気がついて「なにこれ?」と力なく笑ったのだった。