暇鳥風月

暇鳥風月

ざれごとからたわごとまで

ローカルショック

えー、わたくし出身地がチーバくんの下腹部あたりということで、素晴らしいほどに何もありません。

 

といっても見渡す限りの田んぼ・・・なんていうタイプのドのつく田舎でもないのですが、工場と畑と、あとは東京でもドイツでも村でもない自己欺瞞ランドしかありません。そんな徹底的に娯楽の排除された私の出身地ですが

いわゆるド田舎という劣等感はありません。県内三位という妙に豊かな財政がここの住人の精神的拠り所となっています。都会か田舎かと問われれば寸分の狂いなく田舎です。ただし、この街自体に何かあるワケではないけれども、ちょっと行けば基本なんでも手に入るというポジ要素があります。住人は、財政と立地という本人の努力と全く関係ないところでポジっています。それでいいのか。

 

そんな控えめな選民思想をもった私はこの前ショッキングな出来事に出くわしました。それは千葉県民の子と鳥取県民の子と昼ごはんを食べていた時でした。鳥取県民の子から「『あくあらいん』って何?」という衝撃の言葉が飛び出てきたのです。

 

 私は当然困りました。

 

義務教育を終えた人間でアクアラインを知らない人がいるのかと不思議で仕方がありませんでした。てっきり私はアクアラインは全国区だと思い込んでいたのです。

 

 

我々のような千葉県南に住む人々は、アクアラインは革命でしかありません。横浜に1時間足らずでワープできる最強兵器であり、これにより立地において革命が起き、(相対的に)都会っ子の千葉市民を都会への時間距離で凌駕します。我々にとってアクアライン知名度英仏海峡トンネルと同格であり、青函トンネルよりも上位なのです。20世紀最大の発明を知らないなんて、私はその子の基本的人権を剥奪したくなるのを抑えるのに精一杯でした。そのくらいショッキングでした。

 

 

そんな私ですから、このボロッボロにくずれかかった精神状態をなんとかするべく助け舟を求めました。一緒に食事をしていた千葉県民に「でもまぁそこそこ有名だよね?」と残ったかすかな自尊心を絞り出して問いました。

 

「いやごめんおれ使ったことないんだよね…」

 

は?ほぇ?使ったことないの?あくあらいんを?

 

私はすぐに思い出しました、彼の最寄りは海浜幕張だったことを。私は思わず唇を噛み締めました。海浜幕張?はぁ?もう都民じゃん?どの面下げて千葉県民名乗ってんだてめえ

 

 

まぁその後なんやかんやあって話も弾んでですね、そろそろ昼飯を終わりにしようかという折、鳥取県民の彼がこう言いました。

 

 

 

 

「でもさー、結局ちばの人しか使わんけんさー、それってさー、いる?」

 

 

 

やめろ、それ以上的確なパンチをいれないでくれ。そんな天真爛漫な笑顔で畜生みたいな発言をしないで、私ショックで死んじゃうよ。要るんだよ、もうアクアラインないと何もできないの我々、そりゃ確かに向こう(東京横浜etc...)の人は使わないよ。でもさ、そんな無慈悲なこと言う必要ないじゃん。なんだ?それじゃ金谷からフェリー使えってか?んな殺生なこと言わないでくださいよぉ。

 

 

最後に繰り出された強烈なボディブローがモロに決まり、私の地元のアイデンティティが消え去ったところで、満身創痍で食堂をあとにしましたとさ。はいはいめでたしめでたし。

 

 

追記)この出来事があったのが一ヶ月ほど前だったんですが、今日名古屋民の友達にも訊いたらやっぱり知りませんでした。きっと他県ではメディアによるアクアライン報道規制があるのでしょう、だからこの素晴らしき文明の利器であるアクアラインを知らないのだと思いました。嗚呼可哀想に。